【前編】船で大阪から上海まで行ってみたら、絶景とその代償がすごかった
はじめに
飛行機が嫌いだ。
軽度の高所恐怖症なのもあるし、あんな大きいものに乗って空を飛ぶということに理屈ではなく漠然とした不安がある。
でも、留学するためには中国へ行かなければならない。
そんな時選択肢として上がったのが大阪上海間の日中国際フェリー「新鑑真号」。
二泊三日朝食付きで学生18000円!
飛行機と同じくらいの値段だし、荷物制限も飛行機よりゆるい。
船でゆったり瀬戸内海を眺めながら留学先へ向かう。なんだかすごくロマンチック!
2018年8月28日、わざわざ東京から新幹線で大阪まで向かい、大阪港から旅立った。飛行機で上海に行くより手間も費用もかかっている気がしたが、ロマンには代え難く、期待に胸が膨らんだ。
その先に想像以上の絶景とその代償が待ち受けているとも知らずに……。
乗船、出航…
乗船開始は9時から。気合を入れて8時には到着したらロビーには誰もいなかった。
というか、乗船時刻になっても人はまばらでせいぜい30人くらい?
出国手続きはパスポートチェックと体温検査、荷物チェック。ものの10分で終わってなんだか本当に出国するのか緊張感がない感じ。でも、赤外線体温計か何かを使って2秒くらいで終わった体温検査だけは初めてで特別感があった。
私が予約したのは二等室の和室だ。大部屋に各自の布団を敷いて寝る雑魚寝部屋。
同じ値段なら二等室洋室のほうが個人のベッドもあるしカーテンもあるし、快適じゃないかと思うかもしれない。しかし、乗客数が少ないのならば広々とスペースを使用できる和室の方が便利とみた。
結果、同部屋の乗客は一緒に同行した友人と、中国人女子大生1人だけ。かなり自由に荷物を広げられて良い選択だった。
同じ部屋の鄭夏ちゃんは、1年間の日本語留学から帰国するために、わざわざ秋田の大学から大阪まで新幹線で来たらしい。素敵な帰国の仕方だ。
船内は綺麗。トイレはゴミ箱にトイレットペーパーを入れる中国式。ビールは酒税がかからないからかなり安い。たくさん飲もう。
1日目 しんみりする関門海峡
食事は朝は無料で、昼夜は食堂で好きなものを注文する。日本語ができる人はいるから言語の心配はないはず。大抵500円前後で、船内にしては良心的かも。
お昼を食べてゴロゴロしたら、甲板に出てみた。
瀬戸内海の島々を眺めながら夕日を迎えられるって贅沢すぎる。
18:30頃、日没を迎えた。今まで見た夕日の中で一番美しかった。これ以降は周りの明かりも乏しいため外は真っ暗だ。しかし漁港を通過するたびにぽつぽつ電気が見えてなんだか安心する。
23:40頃、福岡が見えて来た。関門海峡だ。写真を撮るのが下手すぎて伝わらないが、イルミネーションみたいでほっとする。新鑑真号に乗るなら夕日とともにぜひ見てみてほしいスポット。
関門海峡を過ぎて以降は、瀬戸内海からいよいよ東シナ海へ出ることになる。明日起きたらきっともう日本は見えなくなっているだろう。日本の通信会社の電波ももうそろそろ入らなくなる。少し寂しい。疲れたからシャワーも浴びずに寝た。