【その1】鉄道42時間昆明〜成都途中下車の旅(昆明、攀枝花編)
はじめに
旅というのは、鉄道抜きでは始まらないとすら思う。
見知らぬ地で見知らぬ景色を眺めながら時間を潰しているひと時こそが、旅愁というもの。
中国の雲南省から四川省にかけて、成昆線と呼ばれる山岳鉄道が通っている。
これまでの旅において鉄道は手段でしかなったが、この鉄道の車窓が素晴らしいと聞き、目的としての鉄道旅に行くことにした。
考えたルートがこちら。
そこから攀枝花、西昌と途中下車していき、成都を目指す。
最後に武漢まで鉄道で帰るという算段。合計移動時間約42時間、総移動距離約3500kmという壮大な計画である。
こんな旅に着いてきてくれたのは、船で大阪~上海までの旅、-27度のアムール川を見る旅も一緒に行った高校の同級生。またまた即レスだった。
はじまりは昆明
さっそく出発地である昆明に着いた友人と私。
そこで私たちは……
中国人の家で飯を食べていた。
どういう状況?
実は、シーサンパンナで出会った中国人青年の故郷が昆明だったので、「今度行くよ!」と伝えたところ「じゃあ一緒にご飯食べよう」と確かに話していた。
どこか食べに行くと思っていたら、連れていかれたのは予想外の実家。
恐る恐る団地の一部屋を訪れると、彼の父親と母親が夕食の準備をしてくれていた。
しかも雲南名物の鳥スープ、汽鶏鍋まである!!
私たちが「おいしそう~~!」「ありがとうございます~~」など言っていると、向こうの両親は「早く食べな!もっと食べな!喋ってないで食べな!!」ととにかく食べさせてくる。
静まり返った空気の中で一家とともに夕食を囲む気まずさに雑談をしようものなら、父親から「もっと食え!!」と飛んでくる。
私たちは無我夢中で食べるマシーンと化して、黙々と白米とおかずを食べ続けた。
高校の同級生、シーサンパンナで会った青年、その両親という謎のメンツ。
「うちに泊まらなくていいの?」と言ってくれるし、ホテルまでのタクシー代も払ってもらってしまった始末。
中国人の歓待力すげえや……。
お土産に果物までたくさんもらった。このミカンがのちのち予想外の役立ち方をしてくるのだった。
私たちはあまりに良くしてもらった事態に驚き、友人が日本から持ってきたカップヌードルを代わりに贈った。
でもよく考えたらカップヌードル、中国にも売ってるわ…。
雲南名物の過橋米線、具材を入れてるときがテンションマックスで食べると「まあ…」って感じ。おいしんだけども。
泊まった宿は明らかにただマンションの一室にい2段ベッド詰め込んだ形で、外国人登記もしてなかった。
夢の成昆線
いよいよ出発の時が来た。
夜、昆明から攀枝花まで向かう。このホームに来るとワクワクするんだよなあ。
これはボックスシートの向かい側のおじさんの脚があまりにもにおうから、貰ったミカンでやり過ごそうとしてる友人。
ありがとうミカン。
夜が深まってくるとこうなってくる。
夜の硬座って外見えないし辛いだけだ…。
深夜0時ごろ、攀枝花駅に着いた。
そして同日早朝6時発の鉄道に乗る予定。ちなみに攀枝花駅からホテルなどがある中心街まではタクシーで30分くらいある。
誰だこのクソネミ行程考えたの…。
しかもこういう疲れてるときに限ってホテル受付のお姉さんが「日本人だ~キャッキャ」みたいな絡みでつらい。
早朝の攀枝花駅。頑張って起きた…。3時間睡眠くらい。
明け方前に乗車するのもなかなかいいね。
これから、7時間ほどの攀枝花~西昌硬座の旅が始まる。
女性の車掌さんがなぜか私たちの席にきて、なにやらパスポートを見せろと言ってきた。
乗ってからなぜ?と思ったが差し出すと、
「うわー本当に日本人だ!西昌に着いたら絶対教えてあげるから安心して!!!」と中国語わからなかったら絶対怒ってると思うような興奮した口調で言われた。やさしい。
だんだんと夜が明け、日が昇ってくるのをじっくり見ることができる。
外が白くなってきた。
完全に日が昇り終わると、外がキラキラ照らされて眺めていて気持ちがいい。
友人は乗車中ずっと爆睡していた。付き合わせてごめん。
独り占め。
さすが山岳鉄道。
かごリュックだ!!
駅も日本のホームみたいに狭い。
一面の風車地帯はなかなか壮観。
7時間の鉄道旅も、移り行く景色を眺めていたらあっという間!
私が中国の都市でも上位に入るほど魅了されることになる、西昌に着いた。
次回、鉄道42時間昆明〜成都途中下車の旅(西昌編)に続く。