【その3】初台湾・金門島を無免許原付でかけぬけろ!【中華民国福建省】
3日目 アモイは蜃気楼のビル群
まず上陸するとその異様な光景に目がいく。この島、政治的なスローガンが街中に頻繁に点在しているのだ。
当たり前だが台北ではまずこんな光景はない。台湾で一番かつての軍事政権下のおもかげが残っているのは、おそらくここ小金門だろう。
灼熱の中、『三層楼』のタロイモかき氷には本当に助けられた。確か500円しないくらいで、かなりのボリュームがあった。
小金門はとにかく暑い。日差しを遮る陰になる建物もない。人もいない。しかし、牛はいる。
1人心細く走っていた中、癒しは放し飼いされている牛たちだ。
『三層楼』から北へ畑道を進んでいくと、海に出る。
見えた、中国アモイ…!!
金門側ののどかさと比べるとアモイのビル群は正反対だ。波の音しか聞こえない、誰もいないビーチから見えるアモイは、まるで蜃気楼のようだった。
「国境」と表現すると、それは中国側からしても台湾側からしても異議のある言葉かもしれない。
しかし、この目前にある島に行くためには、私は台湾出国手続きをしなければならないし、中国入国手続きをしなければならないし。つまり、ある種ボーダーであることには変わりない。
小金門はとても魅力的な島だ。戦史好きも、建築好きも十分楽しめるだろう。でも、訪れた際にはぜひボーダーウォッチングもチェックしてみてほしい。
ところでスマホはどうなったかというと、結果的に見つかった。宿主の方がタクシー会社に問い合わせて捜索してくださった。スマホはパクられやすいだろうと思って諦めていたので、本当に嬉しかった。
さいごに
2018年8月13日。私は高雄にいた。明日の飛行機で帰国する。長くもなく、短くもないが、良い旅行だった。
高雄はこの日、土砂降りだった。ゲストハウスでチェックインしようとすると、どうやら私が泊まるのはここから数百メートル離れた別館らしい。傘は持っていなかった。もう少し収まるのを待つべきかと玄関で躊躇していると、50代くらいの女性が話しかけてきた。
「困っているんでしょう?私のバイクに乗りな」
彼女はさきほど私の横でチェックアウトしてた。スタッフとの会話を聞いていたんだろう、親切で優しい人だ。彼女の勢いに押されて後ろに飛び乗ると、その勢いのままバイクは高雄の街を疾走した。もちろんバイクなので、私は全身ずぶ濡れになった。