早大五年生in中国

黒竜江省で軍人に拘束されたら中国に魅了され三ヶ月後に思わず留学した学生のブログ

年越しは雲南省紅河ハニ族イ族自治州で神秘の棚田を見よう

 

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はじめに

 中国の雲南省紅河ハニ族イ族自治州・元陽には、1300年以上かけてハニ族により作られてきた広大な棚田群がある。*1

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参考画像

 2018年の年末。武漢で留学中だった私は、年越しでこの絶景を見ようと決意した。

 初日の出に照らされた世界遺産の棚田を眺めながら新年を噛みしめるーーなんて素敵な計画だろう。この後、旅行全体を通して濃霧に苦しめられことになるとは、この時は全く考え及んでいなかった……。

 

1、おおまかな旅程

武漢→飛行機2時間→昆明→鉄道3時間→建水→バス3時間→新街(元陽)→バス8時間→昆明武漢

 基本的に日本から行く場合でも、昆明以降の行程はほぼ変わらないだろう。昆明→建水の移動はバスも便利だ。

 また、元陽はバスターミナルが南沙と新街に分かれており要注意。南沙ターミナル周辺は発展しており、他の街へのバスも多く出ているが、棚田へ行くにはまた別のバスに乗って新街に行く必要がある。

 

2、風光明媚な観光地・建水

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こういう屋台が一番美味しいよね

 早朝、昆明駅から建水行きの鉄道に乗る。建水といえば、清代に作られた古い街並みが観光地として活かされている。また、戦前に作られた個碧石鉄道が観光列車に変わり、郊外の団山村まで運行されている。

 

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観光列車発車駅

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火車

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中もレトロで可愛い



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双龍橋駅

 観光列車は途中フォトスポットで停車し、20分後に再び発車する。途中下車や途中乗車はできない。

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最終駅・団山村

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 最終駅の団山村には古い街並みが残されている。かなり整備されており、いわゆる中国の観光地という感じ。

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建水名物の焼豆腐

 正直建水は棚田までの通過地点のため、そこまで期待してはいなかったが、期待通りそこそこの街だった。もちろん元陽に行くならぜひ建水観光を楽しんだ方がいいとは思うが、建水のために日本から旅行するかと言われたら微妙なものがある。

 

 そんな建水で一番面白かったのは、スローガンで間違いない。

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「標準語話せ、簡体字書け」

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「標準語話せ、簡体字書け」

 至る所でみかけた「標準語話せ、簡体字書け」のスローガン。実際、私が日本人の友人と日本語で会話していたら、店員に「その言葉ってどこらへんの出身?え、日本?!外国人とは思わんかったわー」と話しかけられた。自分が全くわからない言語を聞いても中国人と思うところは、さすが少数民族最多の雲南省である。


3、事故るのは時間の問題!恐怖の濃霧と峠道

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バスターミナル近くで昼食

 建水から1日に一本しか出ていないバスで、新街まで行く。雲南省は米文化の中心地であり、麺もまたライスヌードルが主流だ。こういう野外で低いプラ椅子に座って食べる激安米線が異様に美味しいのはなんでなんだろう……。

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米線

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サービスエリア…?

 バスで一時間ほどいくと、あっという間に山奥に入る。途中休憩したサービスエリアでは鳥が自由に動き回っており風情がある。ちなみに左の建物が、おなじみのニーハオトイレだ。

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バスから見える前方

 バスが走るごとに霧が濃くなっていき、ついにこんな景色になった。ただでさえ運転しにくいぐねぐねの峠道を通っていい天気ではない。しかしここでは日常茶飯事なのか、運転手は楽しそうにクラクションを鳴らしながら果敢に進んで行く。絶対しょっちゅう死人出ていると思うこの道。

 突然、バスが停車。目的地の新街まではまだ距離があるはずだが、全員降りろという。よくわからないまま下車すると、宿の客引きが群がってくる。「こっから車で宿に連れてったげるよ!」という女性。聞いてみるとなんと事前に予約していた宿のオーナーだった。本来7人乗りの車に10人くらい詰め込まれ、恐怖のドライブは続いた。

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宿周辺

 ちなみにこの近辺の宿には暖房がないことが多い。気温は1月で5度~10度と比較的温暖なものの、普通に寒い。到底シャワーを浴びる気にはなれず、ダウンを着込んで部屋にある電気毛布でしのぐしかない。

 寒すぎて寝る気も起きずロビーでスマホをいじっていると、華僑のマレーシア人とハニ族の宿スタッフの宴会が始まり、一緒に飲むことになった。ハニ族のスタッフは執拗に私の膝を触ってくる。それを見たマレーシア人は「ごめん、これはセクハラだ…。代わりに俺が謝るよ…ごめんなさい…」と悲しそうだった。

 

4、ここまで来て、見えない棚田?!

 翌朝、日の出を見るべく早速近くの棚田展望台へ向かう。

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え…

 そもそも前日の濃霧バスの時点で薄々気づいてはいたが、霧で全く何も見えない。見えなすぎて笑えてくる。飛行機2時間鉄道3時間バス3時間を乗り継いで来た結果にしては、あんまりだ。

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ん…?

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あれ…?

 日の出が近づくごとに、徐々に雲海が晴れて来ている!

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!!

見える、見えるぞ…!!

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これやーー!!!!

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壮観すぎる

 水が張った田んぼにきらきら反射する朝日。青と赤の絵の具が滲んだような水面。まさに、期待していた絶景だ。

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日が昇りきった後も乙な景色。

 日の出の前後5分間ほど、綺麗な棚田を見ることができた。しかし結論からいうと、2泊3日の滞在期間のうち、私たちが棚田を見れたのは結局この5分間のみとなった。そのため、これ以上棚田の写真は一つもない。まじで日の出から日の入りまで外で粘ったけど微塵も見えなかった。辛い。

 以降、ダイジェストで元陽を紹介する。

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牛さん

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古い街並み

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終始こんな天気

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適当に入ったお店の牛肉煮。おいしい

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暖房にない宿で火鉢が沁みる

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宿で出会ったフランス人、中国人と


おわりに

 暖房はないけれど雰囲気は暖かい宿に恵まれ、とても忘れがたい年越しとなった。特に、宿のスタッフがロビーをうろつく野良犬を「犬肉!」とふざけて呼び、「この子は明日の朝食なんだ〜」と冗談を言っていたことは忘れられない。翌日、犬の叫び声のようなものが部屋の外から聞こえたが、一体全体本当に食べたのかどうか、怖くて確認できずじまいだった。